2010年2月21日

「聖地チベット —ポタラ宮と天空の至宝—」

年が明けてチベット展が大阪にやってきたので出かける。

札幌と東京の展示内容がどんなものだったのかは見てないからわからない。東京では美術館の前で抗議活動をしている人と話をする機会があったが、確かに言いたいことはわかるし展示のあり方にも問題はあるけど、とりあえずチベット文化というものを知ってもらうことに意味があるんで、展示会はどんどんやらせればいいんじゃないかという気がした。だいたい、展示されている文物を見ればチベットが中国とは別の文化圏であることはバレバレだし、逆に少々キャプションに問題があるにしてもこれを見て中国の一部だと考えてしまう日本人が大多数なのだとしたら、それはチベットが軍事的、政治的にだけでなく文化的にも中国に負けているということで、その程度のものなのならば現状も是認するしかないと思うのだ。

で、今回の大阪展なのだが、九博と違って実にあっさりした展示になっていた。中国側の政治的色彩の強いパネルがなくなっただけでなく、これらの仏像が単なる美術品ではなく信仰の対象であることをうかがわせるような演出も消えていた。仏像はガラスケースの中に整然と並んでおり、現役の信仰対象というより遺跡からの発掘物のような趣となっている。これが抗議活動の成果というのなら、角を矯めて牛を殺しちゃったわけだが、たぶん会場が狭いからこうなったんでしょう。まあ、何も知らないで見たらこれで喜んでたと思うけど、同じものが並んでいるはずなのに、どうしてここまで印象が変わるかねえ。がんばって九州まで行ってて良かったわ。

0 件のコメント: