2010年4月24日

「舞台裏-物語へようこそ-」

舞台のセットの内部というのも(舞台を通らないと入場できない困った劇場は別にすると)なかなか触れる機会がないものである。客席にいるといろんな約束事の中で舞台美術を見ているのだが、約束事を離れてセットの中に入り込んでしまうと、またいろいろなものが見えてくる。当然ながら立派なのは表面だけで、裏に回るとベニヤ板むき出しだし、ふかふかのソファも座ってみるとクッションは一切なくただのベンチだ。それでも、今回の展示だと、ギャラリー南の廃墟寸前のビルの一室(?)は冷たく感じるし、北のアールヌーボーっぽい洋館(?)は暖かく感じる。どっちもコーナンで買ってきた(かどうかは知らんが)部材を組み上げペンキを塗っただけなのだが。で、この日はたまたま盲人の(案内はちゃんと「視覚障がい者」です、念のため)ためのガイドツアーをやっていて、当然ながら彼らにはこういっただましのテクニックは通用しないのだった。座ってみるとただの硬いベンチでしかないのに、実はソファであることを一生懸命スタッフが説明するのだが、健常者がなぜこれをソファだと認識してしまうのか、なかなかわかってもらえない。盲人に3Dテレビを売り込むのは大変そうだなあ。

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