2009年5月9日

「都築響一 着倒れ方丈記」

本来の目的は「ラグジュアリー:ファッションの欲望」展で、これはこれで結構面白かった。特に川久保玲の「これどうやって着るの?」という衣服(布?)の数々が見ていて飽きない。しかし、関連企画の「着倒れ方丈記」の方が圧倒的に面白い。流行通信に連載された、(決して裕福ではない)ファッションブランド愛好家のコレクションを彼らの狭い(さすがに方丈よりは広いが)部屋に広げて写真を撮る企画なのだが、見ていて微笑ましいというか愛しいというか(「落ち着く」というべきなのか)。ただ、都築さんは「コレクションの世界にも、実は厳しい上下関係というものが存在するのだろうか」と言うけど、そんなものはないと思う。コレクターはみんな愛すべき馬鹿者たちで、ジャンル毎に(主に収集に世間の協力が必要かどうかによって)コレクターの側が世間に受け入れられようとするか、世間を拒絶しようとするかなんじゃないかな。また、「ファッション・ビジネスだけは、どうもちがうらしい。自分の作ったものを買ってくれる人、顧客を恥ずかしがり、軽蔑し、自分たちが作る幻想の世界を大切にしようとする。不思議な商売」とも言うんだけど、本来のターゲット以外に人気が出ることで元々の支持層を失うのは商売人としても困ったことだし、第一、富裕層向けの商品が下町の愛好家に媚びるようになったんでは、その魅力がなくなっちゃうよね。大きな男の子の方が一人当たりの購買額は大きいけど、プリキュアのメインターゲットはやっぱり小さな女の子でないと。

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