2008年11月30日

仙台(1)

まず向かったのは仙台市地底の森ミュージアム。旧石器時代の森林(といっても、もともと古くからの水田遺構として知られていたところで、森がそのまま化石化してるくらいだから当時から沼地だったらしい)の遺跡面をそのまま現地保存して公開している国内では稀なコンセプトの博物館。こんなものが建っちゃうんだからバブルの狂騒もまんざら悪いものではなかったのだが、どうせ赤字だろうから廃止にならない事を祈ります。お土産に敷地内で収穫した古代米までいただいて幸せ。

次に向かったのは多賀城の東北歴史博物館。時間的に特別展(塩竈・松島 その景観と信仰)を見るにはしんどかったので、常設のみを駆け足で見学。もっとも、ここで一番面白かったのは屋外(無料エリア)の今野家住宅。およそ240年前の石巻の民家。
エントランスから眺めた図。夕日があたってきれい。
トイレ。和式の便器が二つ設置されている。一方は陶器だが、もう一方は金属製。中国じゃないから、ちゃんと仕切りで分けられています。屋根の草がいい味を出してます。
お風呂。井戸で汲んだ水を樋で浴槽に流すようになっている。賢いねえ。風呂は沸かしてないと思うけど、おじさんがちゃんと薪割りもしてました。芸が細かいことで。
屋敷内の神さま
暖炉のそばにはボランティアの人がいて、あれこれ相手をしてくれます。いろいろとイベントもあるらしいから、これも近所ならちょくちょく顔を出すんだけどなあ。

2008年11月29日

平泉(3)

翌日、宿から歩いて中尊寺へ。観光バスがまだ来ていない時間帯なので、静かな雰囲気。

人のいない月見坂の写真が撮れたりします。
もっとも、こんな時間でも山から下りてくる人も見かけます。金色堂の開門直後なので、このタイミングだと見てないって事だけど、何をしに行っているのやら(いや、ただのお参りだろうけど)。



景色を楽しみながら山の奥へ。紅葉のピークはだいぶ過ぎているものの、まだ絵になるところもちらほら。人が少なくてゆっくり見られるのはいいが、まだお堂が閉まっていて中が見えないところも多い。まあ、帰りは開いてたからいいけどね。

金色堂に着くころにはだいぶ人も増えてきたが、まだ覆堂内に我々と係員しかいないタイミングもあったりして、じっくりと堪能。もっとも、ガラス越しで距離はそこそこあるし、西北壇の諸仏は巡業中で不在。

こんなに人が少なくて見通しが利くのに、自分のグループからはぐれて僧侶に泣きつく人も。お坊さんも慣れたものでちゃんとツアーの行程を把握していて、どこに行けばいいか教えてくれます。日本は平和だねえ。

宝物館を出るころにはすっかり賑やかになって普通の観光地になってました。

ちなみに、おやまで一番気に入ったのは白山神社の能舞台。もちっと近くなら公演を見に行くのになあ。




峯薬師堂の絵馬。眼病にご利益があるらしいのだが、ちょっと笑っちゃいました。

2008年11月28日

平泉(2)

続いて毛越寺へ。

当時の建物は残っていない。もっとも、京都でも平安期の建物などほとんど残っていないから、地震や火事が付き物の日本では仕方がないこと。売りは当時の面影を今に伝える庭園だが、これも基本は引き継いでいるものの、たとえば写真の遣水も近年の発掘後に復元したもの。まあ、発掘したものをそのまま見せられるより手を入れてもらえたほうがありがたい。


紅葉の旬は過ぎているのだが、探せばいくらでもきれいなところはあるもので。

郷土館が改装中だったので義経堂へ。バイパス工事でいくらか趣は変わっているが、ここからの北上川の眺めは素晴らしい。堂の中の作り物っぽい義経像より、宝物殿の仁王の方が素敵。

この後、無量光院跡と柳之御所資料館を回る。このあたりで日も傾いてきたし(東北はさすがに日の暮れるのが早い)、残りのポイントはちょっと遠いので自転車を返して宿へ向かう。お疲れ様でした。

2008年11月27日

平泉(1)

駅に着いてみると思ったより気温が高い(当日の一関の最高気温は8℃)。これなら何とかなるかも、で予定を変更しレンタサイクルを借りる。目的地は徒歩ではアクセスできない(いや、バスもあるにはあるんだけど本数がねえ)達谷窟毘沙門堂。坂上田村麻呂が建立したとされ武家の信仰の厚かった寺院だ。
うわー、日本にもこんなところがあるんだ、という石窟寺院である。もっとも、岩の窪みに直接寺院を彫りだしたりはせず、ちゃんと建物を建てて中に毘沙門天を納めてある。それでも異国情緒は十分ですな。そういえば仙台(東光寺)にはほんまもんの石窟仏もあるらしい。さすがに今回は断念しましたが。
ここのもうひとつの売りが日本最北の磨崖仏。もっとも、明治期の地震で胴体部分は崩れ落ち、頭部のみが残っている(それも風化が激しい)。どうにかならないもんかねえ。
こちらは先日の地震で倒れた石灯篭。当然こっちの修復の方が先なんでしょうね。

西風が強くて着くまでに往生しましたが、行ってみてよかった。遠路はるばる来て中尊寺と毛越寺だけでは寂しいからねえ。

2008年11月26日

志津川

岩壁に建つ温泉ホテルに泊まっただけで、町はほとんど見てません。

なんかチリ地震の時に津波で被害を受けた仲(?)ということで、町中にモアイが。何を考えてるのか良くわかりません。

で、件の宿ですが、雑技団がショーをやってたりもするのだが、従業員にもやたら中国人が多かったのが印象的。一方的に搾取をしてるとかではなくお互いにメリットはあるようだったが、それにしても、こういう部分でも外国人労働者をあてにしないと成り立たなくなってるんだなあ。

部屋から見た朝日。部屋はすべてオーシャンビュー、露天風呂もほぼ同じロケーションでした。季節があえばちゃんと海面から登ってくるんだろうけど、ちょっと残念。まあ、シーズンオフだからなあ。

2008年11月25日

石巻


なぜか二つもある石ノ森章太郎の記念館のかたっぽが北上川の河口にあり、駅前から続く商店街はマンガロードと呼ばれ石ノ森キャラの像が並ぶ、という話なので境港のようなつくりを想像して行ってみたら、何のことはないありきたりのシャッター通りでした。いや、確かに像は建ってるのだが、数も少ないしそもそも可愛くない(ロボコンは除く)。まあ、こっちが石ノ森って苦手な漫画家だってのもあるけど(だったらわざわざ行くなよ)。水木しげるはやっぱり偉大だよなあ。
で、これが件の石ノ森萬画館。思い入れがないから正直つまらんのだが、それでも2時間もかけてしまうのはバカ。クルマで移動してたらまた違うんだろうけど。しかし、ずいぶん有名な話なのに「龍神沼ってあんな話だったっけ」というのに唖然。すっかり老人力がついてますな。

お昼に食べた穴子丼が美味。先日築地で食べた穴子フライよりうまい(ある意味、比べるのは双方に失礼だが)。これだけでも寄り道した意味はあったかな。

2008年11月24日

みちのくへ

行ってきました。

この寒いのにわざわざ北へ向かわなくてもよさそうなものですが、もともとは風さんの屋久島のツアーに行こうと思って休みをこさえたのに、鹿児島からの飛行機がとれず(現地集合でトッピーでは間に合わないのよね)断念。仕方ないし平泉にでも行こうという次第になりました。相変わらず突拍子もないなあ。

2008年11月15日

関西文化の日

今年は例年より1週間早く今週が中心の開催となりました。

京都芸術センター

ここはいつもタダなのだが、、、まあ、いいか。出し物は、椎原保展『時の風景』。どっちかと言うと石と針金の「風景の建築」の方が好みかな。壁にさりげなく刺さった針金の切れ端がかわいらしい。ただ、お目当ては関連企画の「伊波晋パフォーマンス」。小学校時代は図工室だったという天窓のある鏡張りの制作室の壁際に20人ほどの観客が座り込んだ中、半そで半ズボンのおっさん(金魚のアロハが素敵)がいきなり入ってきて無口に動き回り、アンパンマンを口ずさみギャラリーに水を勧める。もう少しダンスの要素の強いものを想像していたのだが、これはこれで楽しめました。大枝アートプロジェクトにもいっぺん行ってみないとなあ。


大西清右衛門美術館

やっぱり、こういう普段は絶対行かない所を訪ねるのがこのイベントの醍醐味ですね。大西清右衛門は釜座の唯一の生き残りで、当主は第十六代の清右衛門になるそうな。茶釜の良し悪しなんかちっともわからないのだが、こういった古い職人(扱いしたら怒られるのかも)が当たり前に商売をしていて、普通に家財を並べたら美術館になってしまうのが京都だよなあ。

京都万華鏡ミュージアム

話題の投影式万華鏡を見に行ったのだが、今週はお客さんが多いため投影はしないんだとか。やっぱり金を払ってこないとダメか。

堂本印象美術館

衣笠行きのバスがやたら混んでいるので、どないなっとるんじゃと思ったら、今週は立命館大衣笠キャンパスの学園祭なんでした。それじゃあ仕方ないなあ。今秋の企画展は『超「日本画」モダニズム-堂本印象・児玉希望・山口蓬春』。3人並べても、やっぱり印象先生の突き抜け方が際立ってるなあ。絵葉書の品揃えが貧弱だったのが残念。

元立誠小学校

これは関西文化の日じゃなくって別のイベント(芸術系大学作品展2008)を見に行ってきた。芸大の学園祭の作品展のセレクションだと思えば正解なんだろうけど、会場の小学校がとてもいい味を出してます。京都の番組小学校の建築はどこも(といってもここと明倫しか知らんけど)気合が入っていて楽しい。3階の和室(大広間)なんか、いったい何に使っていたのやら。エッシャーの鳥のアニメーションと中庭の牛が良かった。キャンパスプラザの方も楽しそうだけど、さすがに根性が足りず今日はここまで。

2008年11月8日

「アジアとヨーロッパの肖像」展、博物館編

2会場でやってるんだから別々の構成なのかと思ってたら、まったく同じつくり。写真パネルが同じものなのは当然としても、一品ものの作品も同系列のものが多くて、ちょっとびっくりしました。まあ、そんな状態でわざわざ2ヶ所でやっている意味は見る方で考えろってことなんでしょうな。もっとも、どうしてこの作品がこっちに置いてあるの?というものもあって(特に最後の現代美術のコーナー)、同じ流れを2回見せることでより明確にする、以上の意味はないのかも。まあ、面白けりゃあ何でもいいけど。山海経な人々が素敵。

「ビールが村にやってきた!」展

展示ももちろん見てきたけど、この日のお目当ては関連イベントの講演会「現在のビール造り-嗜好の変化-」。

まず、アクセスが良くない施設で駐車場がガラガラなのに結構な数の聴衆が集まっていたこと、さらに参加者の平均年齢が異様に高いこと(どう見ても60歳オーバー)にびっくり。ビール工場とのシャトルバスも設定してあって確かに満員ではあったのだが、それで足りる人数でもないので、近所のお年寄りがビールの製造工程の講演に徒歩で押しかけたってこと、、、しかも、講演中はみんなおとなしくて(まあ、演者もプロのスピーカーではなく工場の醸造部長さんで、内容は興味深いもののスライドもしゃべりも平板で退屈ではあったのだが)、みんなおみやげ目当てか付き合いで来たのかなと思ったら、最後の質疑応答の熱いこと。あんたたちはアサヒビールの株主か、と突っ込みたくなるような質問が続き唖然。結局、この町のお年寄りはみんなビール工場が大好きで誇りに思ってるのね。こちとら吹田がビールの町だという認識はなかったのだが、、、勉強になりました。

2008年11月3日

向井潤吉展

ドーミエ展の第一部の後期を見に行って、今日は(創立記念日で)タダなのでついでに見たんだけど、これが意外に楽しめました。ちょっと作品数に比べて展示スペースが窮屈なんだけど、見せ方も工夫してあるし、朝早くて人も少なかったのでゆっくり見れました。近くによって見ると絵の具を固めた西洋画なんだけど、離れてみるといかにも日本的に見えるのが面白い。街中ではごちゃつくからともかくとして、電柱に電線という日本的な風景も結構いいもんだということを再確認しました。

「アジアとヨーロッパの肖像」展、美術館編

これも面白いんだけど、感想は博物館編の後にしますね。

「青春のロシア・アヴァンギャルド」展

アジアとヨーロッパの肖像展の続きで行ったので、ヨーロッパとは言いながら西欧とは一線を画するスラブ圏の人々が、20世紀初頭のムーブメントをどう自分たち流に解釈していくかが非常に面白くて楽しめました。そして、最後の部屋のマレーヴィチの何の変哲もない肖像画。行き着くところまで行っちゃった芸術家が平凡な作品を残すことでしか生きていけない怖さと悲しさ。のんきに生きていければそれでいいんだけどねえ。

2008年11月1日

奇想の編集者 宮武外骨展

本日よりスタート。珍しく初日の10時に飛び込んだのは、今日から3日間は思文閣大文化祭でタダなのと、午後はいろいろと用事があったため。展覧会は確かにタダなのだが、文化祭の方で思いっきり散財してしまい思文閣さんの作戦勝ち。展示の方ですが、出版物、それもほとんど文字中心で現物は雰囲気を楽しむだけなのだが、キャプションが良くできてるし、なにより外骨先生の生きざまそのものがおもしろい。明治の人は偉いわ。