2014年9月15日

イメージの力

棟方志功と芹沢銈介―ふたつの「釈迦十大弟子」を中心に― @大阪日本民芸館
十大弟子は確かにいいんだけど、今回一番よかったのは最後のばんどり図四曲屏風とばんどりの実物を並べた展示。こういうのは民芸館ならではだよねえ。

イメージの力―国立民族学博物館コレクションにさぐる @国立民族学博物館
みんぱくはこれまでも「 きのうよりワクワクしてきた。」「千家十職×みんぱく」といった特別展をしてきたし、いつぞやのリニューアルで導入部に文化的背景をいったん切り離したモノの展示を持ってきたりしているので、「イメージの力」のコンセプトには何の違和感もなかった。実際、民博での展示はいつもの風情。なのだが、六本木の新美術館での展示は強烈だった。美術の側からは、「線を越えて展示物に近寄ってしまう人が多くて困った」といった、美術作品でないものを美術館で見せることによるお客さんの混乱(みんぱくでは触れる展示も多いからねえ)の指摘もあったようだが、わしらとしては「収集品が美術のコンセプトで美術館に並んでいる」ことが衝撃的で、最後の部屋なんか「これじゃまるで現代美術じゃん」と思ったらそれを狙ったコーナーだったりして笑ったのだが、それを思えばみんぱくでの展示はやはり安定感がある。天井も低いしね(2階から始まって大階段を下りた吹き抜けに背の高いものを並べるなど工夫はしてるけど、新美術館の展示室とはやはり異質)。お客さんもやっぱり違う。どちらも無料公開日で人がたくさん入っているのだが、六本木はアートの人が集まっていたのに対し、万博公園にいるのはいつもの民博のお客さんで、導入の仮面のコーナーでカップルがタイ舞踊について語り合ってたりする。カメラを用意している人も多い(私も持ち込んだ)。スタッフ側も美術館だとあちこちに黒服のお姉さんがひっそりと待機しているのだが、こちらは警備のオッチャン。で、このオッチャンがまた展示物の文化的背景について熱く語ったりするのだな。巡回展で同じものを展示していながらここまで違う展覧会になってしまう。イメージの力とともに解釈の力を痛感させられるいい展覧会でした。そんな人は読んでないと思うけど、六本木の展示を見た人にこそ見に来ていただきたいですね。

0 件のコメント: