2009年4月26日

「聖地チベット - ポタラ宮と天空の至宝」

展示品をぎっしり詰め込んだ立体曼荼羅みたいな展覧会も嫌いじゃないけど、九博の特別展示室に作品総数123件とあって、展示空間に余裕があるのがうれしい。で、その123件のうち国家一級文物(日本でいう国宝ですな)が36件を占め、中身は濃い。入場者におみくじを引かせたりする演出もうれしい。ちなみに、私の守りがみはヤマーンタカでした(なかなかカッコいい)。チベットの仏さんはたくさんある足でいちいちいろんなものを踏んでるのが楽しい。

これだけのものがこの時期に日本に来る(会場に来て気がついたけど、1年以上かけて全国を回るので、当然関西にも来る)ことには、いろいろな思惑を感じはします。展示を見てても、元朝以来チベットは中国の支配権を認めていたことがさらっと書かれていたりします。ただ、朝貢貿易ってのは東アジアではみんなやっていたことであって、上下関係を認めることではあっても支配権を認めることではないと思うんだけどね。まして、チベットがやってたのは貢物を差し出すことではなく仏の教えを説くことなんだから。ヨーロッパ的な世界観(社会主義ってのもそうだわな)にはそぐわないけど、チベット亡命政府の言う「高度な自治」ってのが実は古典的な宗主国・属国関係に近いんではないかと思う。中国ももう少し自分たちの伝統を大事にしてくれればいいなと思います。

まあ、いろいろ背景はあるにしても、これだけのものが日本で間近に見られることに感謝してます。たとえば、今回の目玉の一つ「弥勒菩薩立像」は現地では布をまとっているのだが、これを裸にしてしまうのは展示の主体が漢民族だからであろう。偶像が服を脱いだといって喜んでる私なぞはチベットからすると「最低の人間」なのかもしれないが、あれだけ作りこんであるんだから布で隠さないほうがいいよねえ。

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